会長挨拶

 この度、第98回中国四国外科学会総会を2023年8月31日(木)から9月1日(金)に徳島で開催させて頂く事になり、教室員一同大変名誉なことと存じております。
 本学会の徳島での開催は、平成に入ってから第72回(1997年)を旧第二外科の門田康正先生、第78回(2003年)を私の前任の田代征記先生、第88回(2013年)を心臓血管外科の北川哲也先生が担当され、今回は10年ぶりの開催となります。前回の第88回では私が第18回内視鏡外科研究会のお世話をさせていただいたのが昨日のように思い出されます。
 今回のテーマは、女性で初めて第28回内視鏡外科研究会の当番世話人を担当する高須千絵君(日本外科学会代議員)と相談の上、“「外科」のNew Normal - Diversity & Inclusion -”としました。ご存じの通りNew Normalとは、リーマン・ショック後の世界経済において景気が回復したとしても以前のようには戻らない、すなわち「新たな常態・常識」が生じていることを意味した言葉です。今、まさに医学界でもCOVID-19のパンデミックをきっかけにオンラインの急速な広がりやDXなどが急速に進んできています。さらに外科学においては、早期癌における外科以外の治療法の発展、ロボット手術の新た展開など後戻りのできない変化が出てきております。Diversity & Inclusionもよく知られていますが、外科学においては、これまでminorと考えられてきた多様な分野(例えば栄養などの外科総論)に光を当てることにより新たなイノベーション創出ができると考えられます。今学会は、New Normalの視点から外科学の課題・ソリューションを明らかにし、Diversity & Inclusionによる新たなイノベーションのヒントが出てくる学会にしたいと思っております。ホームページではそういった思いを込め、阿波踊りにおける”New Normal時代への転換” を表しております。
 プログラムに関しては、徳島大学外科をあげて作成すべく、運営委員には胸部・内分泌・腫瘍外科の滝沢宏光教授、心臓血管外科の秦 広樹教授も加わっていただき外科学として一体感のある有意義で楽しいものを作りたいと考えています。若手による若手のための企画に関しては全て高須千絵君に任せています(笑)。
 学会の開催形式は、New Normal時代のあり方を考えつつ、十分な感染対策を整えながら現地開催(Diversityの観点から主題演題についてはオンデマンド配信も考慮します)とし、対面での口角泡を飛ばす熱い討論を行う学術集会本来の姿をとる予定です。また、本学会の目的は、「会則第2章 目的及び事業 第3条 本会は外科学の振興と会員相互の親睦を図ることを目的とする。」とありますので、阿波踊りの余韻が残る秋暑の徳島にて、会員相互の懇親も十分深められるよう徳島大学外科同門会を挙げて、New Normal時代のてっぺんの“お・も・て・な・し”を行うべく心より歓迎したいと思っております。多くの先生方のご参加(ご来場)を心待ちにしております。

2022年10月吉日

第98回中国四国外科学会総会
会長 島田 光生
徳島大学消化器・移植外科学 教授