この度、第31回日本癌病態治療研究会を2022年6月23-24日に徳島で開催させて頂く事になり、教室員一同大変名誉なことと存じております。
本研究会は、1991年に初代磯野可一会長らを中心に立ち上げられ、癌の病態や治療法に関する調査、研究を行い、その病態(素因や環境因子など)や癌患者の臓器の悪性度にあった治療、宿主側の生体反応にあった治療法の確立を目指し大きく発展してきました。
今回の研究会のテーマは、「New Normal 時代の癌病態研究」とさせていただきました。
New Normalとは、リーマン・ショック後の世界経済において景気が回復したとしても以前のようには戻らないことを意味した言葉で、after COVID-19のNew Normalでも「昔と同じ元の世界へ戻る」のではなく、新型コロナウイルスとの共存を前提とした「新たな社会」へ移行することを意味します。現在、COVID-19のパンデミックをきっかけに未曽有の社会変化が起こり、リモートワークの急速な広がり、ビジネスモデルの変革やデジタルトランスフォーメーションなどが急速に進んできています。
一方、癌病態研究におけるNew Normalは、従来の癌細胞を標的とした研究・治療から、腫瘍微小環境・腫瘍免疫に焦点を当てた研究やAI・ゲノム医療へのdrasticな変容そのものであると考えております。特に、がん免疫療法における治療効果、抵抗性、有害事象を確実に予測するバイオマーカーの同定や、AIを活用したRadiomics(放射線医学の多量の情報を系統的に扱う科学)、ICTを駆使した診療診断支援と、そのデータをもとにしたトランスレーショナルリサーチなどが新たな癌病態研究の発展の鍵となると考えています。New Normalの視点から癌病態研究の課題とソルーションを明らかにすることで、新たなイノベーションのヒントが出てくる研究会にしたいと思っております。ホームページではそういった思いを込め、阿波踊りにおける”New Normal時代への転換” を表してみました。
COVID19渦での新たな研究会のあり方を模索しつつも、ぜひとも現地開催による対面での熱い討論と、阿波踊り前の初夏の風情一杯の徳島にて、New Normal時代の“お・も・て・な・し”を行うべく教室員一同、心より歓迎したいと思っております。
多くの先生方のご参加を心待ちにしております。
2021年6月吉日
第31回日本癌病態治療研究会 当番世話人
徳島大学消化器・移植外科学 教授
島田 光生